西村賢太の「苦役列車」を読んだ。
同時に村上春樹の「海辺のカフカ」を読んでいる。
村上春樹の作品は代表的なものは殆ど読んだ。
村上氏の作品を読んでつくづく思うことは「少女漫画のようだ」ということだ。
出てくる人物みんな除菌されているようなツルンとした奴らで
「やれやれ、僕の起こすトラブルに君を巻き込むという出来事は僕の人生のオプションには無い」
等の実際に言われたら虫唾の走る台詞で物語は進む。
終始「ユーモアと知に富んだ文章の連なりと成り行きでうまいこと進む主人公の物語」そう思う。
シンプルな文章でそのシンプルでないあらすじの物語を進める。
多分学生のころに読んだら色んな意味で影響されたと思う。
西村氏は物語の三人称を「村町貫太」として書かれているがおそらくはご自分の名前のもじりであろうそれで話を進める。
家庭の事情で未成年のうちから日雇いの仕事に就き、自分なりの生き易い生き方で生きる、しかし唐突に生き方を見直させる友人に出会う!
が、結局自分の本質は何も変わらない上に、自分の酒の席の行いのせいでその友人まで失いました。
おまけに折角できた女には暴力を振るう始末です。
といったような話なので夢も希望も無い上に知れば知るほど落ち込む作品目白押し。
これまでの作品をなぞるとこの作品なので賞とったみたいな感じではなく 「いつもの通り作品を仕上げたら賞を取っただけ」という感じのする作品。
ただ美しい日本語で綴られているだけに読み心地としてはとても良いので下品な内容も嫌な気分にならない。
たとえば「うんこした」という文は
「俄かに催したぼくは、はな平気とするやたちどころににっちもさっちもいかない状況となり、やむ無く公衆のトイレで用を足す次第となったわけである」
という記述であれば「うむ、ひとくちにうんこをするといっても色々あるからな」など思う感じ。頭が悪いせいなのか上手く言えませんが。
下品な内容の文章を、美しい日本語で書くというギャップ。
ただ本当に内容は酷いのだけど、書き方の、言い回しのせいでどうしても救われてしまう感じが、読む方としては心から嫌になれない。
村上春樹が「スパイシーな少女漫画」なら西村賢太は「年中重い生理痛」という感じだな。
自分はただ「知的障害のおじいさんヒッチハイカーを、トラック運転手の良い人達が目的地まで連れて行く」と進んで行く話よりも「ヒッチハイカー → トラック運転手が拾いどちらかが犯罪者」みたいな話のが好みなだけだ。オチがどうであれ。
寝る!
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